結婚の約束をしよう
「外?外に何かあるのー?もしかしてサンタさんからのプレゼントが置いてあるとか(笑)?てか陵って?」

「…。」

なに言ってるの、陵は陵でしょ。

私は智沙の言うことを無視して、玄関のドアを開けた。

「寒っ…。」

曇り空の下、ビュゥッと吹く風に思わず身を震わせる。

「…。」

ーーーいない。

見渡しても陵は、どこにもいなかった。


「行ってきまぁす。」

いつもより早く起きた流れで、余裕をもって家を出ることができた私の上に、ポツポツと雨が降る。

久しぶりに差した淡いピンク色の傘は、すぐに濡れることとなった。

「……。」

陵ーーー毎朝来てたのに、今日に限って何してるんだか…。

やめてよ、まるで陵を待ってるみたいじゃん。

時折吹く強い風に身体を持っていかれそうになる私は、傘をギュッと握った。


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