結婚の約束をしよう
「お母さん…陵が……陵が…!」

「ちょっと結愛、どうしたの⁈何かあったの⁈」

私はリビングに行くと、ごはんの支度をしているお母さんにしがみ付いて泣いた。

「陵が…し、死んじゃっ……。」

陵のお父さんから聞いた事をお母さんに話すと、お母さんは少し目を潤ませていた。

それから、陵のことを懐かしみながら、私のスマホを使って陵のお父さんにお悔やみの言葉を伝えていた。

ごく最近まで側にいた陵のことを懐かしむ事なんてできない私は、悲しむ事しか出来ないでいた。

好きだと気付いた相手に、もう2度と会えないのだから。


その反面、今でも陵が突然会いに来たりしそうな気さえするんだから不思議だ。

その想いは、月日が流れても風化することはなく、私の中でキラキラと意思を持つように輝く。


目を閉じると、すぐに思い出される陵の笑顔。

その声も…哀しいくらい鮮明で、思い出すたびに泣きたくなるんだ。


冬休みの間は、気を紛らわせるために、頻繁に深月と連絡を取って勉強したり、初詣に出かけたりした。

何かしていないと、すぐに泣いてしまいそうでーーー…。

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