結婚の約束をしよう
さっき結愛の名前を呼んでいた女友達と下校途中、突然顔を赤らめる結愛の視線の先には……1人の男がいた。

中学生か高校生か……歳は近そうだ。

好きなんだな、そいつのことが。


て事は、結愛はあの約束を忘れてしまったのかもしれない……。

それとももう無効か…?


オレとした、結婚の約束ーーー。


オレはあの頃からずっと、結愛の事が好きなんだ。

「…。」

だからお願いだ、結愛が誰を好きだろうがかまわない、最期になるなら会わせてくれ。

さよならくらい、言わせてほしいーーー…。



「陵ーっ!あんたも早く支度しなさいよ!」

意識が途切れたオレが次に目が覚めたのは、元気な母さんの声が耳に届いた時だった。

支度?

何の話だ?

渋々身体を起こすと、オレは懐かしい部屋の中にいた。

夢か?

オレは引っ越す前の、結愛の家から3軒隣のオレの家の自分の部屋に居た。


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