結婚の約束をしよう
「まぁいいか。」

今あれこれ気にしたって仕方がない。

もしかしたら、結愛に会いたいというオレの願いが、聞き入れられたのかもしれない。

「…。」

さよならを、言うためだけど。


ーーーこうしてオレは、結愛に会うために戻ってきた…と、思うことにした。




「笹野陵です。父さんの仕事の都合で9年ぶりに戻ってきましたー……て、おい、結愛か⁈」

まさか結愛と同じクラスに転入できるなんて……結愛も、オレと同じように驚きを隠せない様子だった。

結愛は見た目通りのおとなしいヤツで、勉強もあまり得意じゃないときた。

オレが絡むたびに、迷惑そうな顔をする。

そんなんだから、”万年入学式直後''だなんて言われるんだぞ!

給食の時間、結愛の華奢な身体の話で会話がヒートアップすると、それに合わせて結愛の声のボリュームも大きくなってきた。

「おまえちゃんと食わねーから痩せてんだぞ。もっと食えよ。」

「はぁ?そんなこと陵には関係ないじゃん!」

ふくれっ面も、可愛らしかった。


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