結婚の約束をしよう
心臓のドキドキを抑えながら、何故か静かに歩く私。

向こうから来る、スラっとした脚ーーー。

目線を少し上げると、制服のブレザーが目に入る。

その少し上、顔なんかは……まともに見ていられないくらいカッコイイーーー石崎先輩。

石崎先輩はいつも、そんな私には気づきもしないで通り過ぎて行く。

「…。」

ぺこりーーー気付いてくれているかなんてわからないけど、私はいつも先輩に会釈をするので精一杯。

見ている事しかできない……これが、私。

そして、私が今も部活を続けている理由とも繋がる。

ちょうど部活が終わって帰る時間に、石崎先輩と遭遇する可能性が高いから。

今日は陵のことで何だか疲れたけど、それもチャラかな。

駅を通り過ぎた私は、街灯を頼りに家までの道を歩いた。



「ただいまぁー。はぁ〜寒かったぁ。」

私は家に帰ると、まずリビングに行く。

何で…って、エアコンがついていてあったかいから。
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