結婚の約束をしよう
「参考書だけど。受験が終わって、結愛がいらなくなったらもらえよ。」

陵が持っている紙袋を、智沙の目の前にやる。

参考書ーーー私に?


「ゔ……やっぱ、いらない。」

智沙は、苦笑いしながら断っていた。


「さぁ結愛、早く行くぞ。オレには時間がないんだよ。」

「…。」

時間がない?じゃぁ来なきゃいいのに…。

参考書を持って来てくれた手前、追い返すことも出来なくなった私は、仕方なく陵を部屋に連れていった。


「お、少しは片付いたじゃねーか。」

私の部屋を見渡して、何故か嬉しそうな陵。

「あ、当たり前でしょ。」

…って言いながら、少しでも片付けておいて良かったと胸をなでおろす。

てか何で陵が嬉しそうなんだ…。

「で、おまえいつ着替えるんだよ。」

「陵がいたら着替えられるワケないでしょ⁈」

「そんなこと気にしてたのか?」

「フツー気にするよ。」

気にしなくていいのは、せいぜい幼稚園まででしょ。



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