結婚の約束をしよう
「…。」

陵の力説に、私は何も言えなかった。

「勇気は、自分の中で創り出すものだ。」

自分の中で…創り出すもの。

私は、そんな風に考えた事なかった。

「そ…っか。」

「結愛にも絶対できるから!」

陵は、自信満々の笑顔だった。

私の口から言わずとも、陵は私に好きな人がいる事を知っていた。

そして、全てを悟ったかのような陵の言葉に反論できる材料などもちろんなく、その説得力に私は錯覚してしまう。

私でも、勇気を創り出せるかもーーーと。

陵が帰って来てから、少しずつだけど変わっていった私。

私を変えてくれたのは、全部陵だ。

髪の毛とかの外見も変わって、陵と絡むことでいつもよりも大きな声が出せたり…その結果、クラスの子と話す機会が増えた。

小さなことの積み重ねが、大きな変化に繋がるーーー前にも思った事を、今の私は少しずつ実感していた。

陵は、私の横で気持ち良さそうに唄っていた。


優しく、力強い唄声だったーーー。

< 83 / 182 >

この作品をシェア

pagetop