結婚の約束をしよう
チラリと陵の顔を見たら、既に陵が私の顔を見ていた。

「な、なに⁈」

ドキっとしただけでキョドってしまう私、何とかならないものか。

こんなんじゃ、石崎先輩に告白する勇気なんて、いつまでたっても創り出せないよ。

「いや、マラソン大会さ、オレ応援してやるから頑張れよ。な?」

「そんな事言って陵の方が遅かったらどうすんの。」

マラソン大会はまず男子がスタートして、時間差で女子がスタートする。

毎年女子の速い子は、男子の遅い子を追い抜いている……もっとも、私は女子の速い子の中には入っていないんだけど。

「それなら心配すんなって。オレ前の学校でもマラソン大会は速い方だったから。」

あ、そう…。

陵って、背が低いこと以外に弱点はないのだろうか。

だいたい背が低いことだって、キャラでカバーできちゃってる感じだし…勉強できて運動できて明るくて人懐っこくて……私にないものを全部持ってる気がするよ。


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