結婚の約束をしよう
私は深月と”雨降らないかなぁ。”なんて雑談。

読書の時間は、陵のおかげで前よりも格段になめらかになった髪の毛を指でつまみながら、本を読むフリをした。

ふと隣に目をやると、陵は堂々と寝ていたのだった。


「陵。起きなよ。」

私の小声なんか届くわけもなく、スヤスヤと寝息を立てている。

「陵っ。」

「うん…?なんだよ…。」

さっきよりも少しだけ大きな声をだしたら、陵は目をこすりながら身体を起こしたのだった。

「寝てたらマズイでしょ。」

「はぁ?オレはいいの、マラソン大会のために体力温存してんだから。」

「…。」

何という理屈……自己中と言うべきかな。


「ふふ…。」

思わず笑ってしまってから、慌てて口を抑える。

朝の読書の時間は結構自由に見えるけど、図書委員に居眠りや他ごとしてるのがバレると、担任に報告されてしまうシステム。

意外と面倒な時間。


< 89 / 182 >

この作品をシェア

pagetop