結婚の約束をしよう
思わずキョロキョロして、声の主を探してしまう私。

おそらく他のクラスの子ーーー陵の存在ならまだしも名前まで知られているだなんて…さすが陵と言うべきなんだろうか。

それとも転校生というだけで、その情報は瞬く間に広まるのだろうか。


「はい女子、そろそろ準備するぞー!」

あれこれ考えてるうちに走る番が迫ってきて、みんなに付いてゾロゾロと移動する。

「あ〜もぉ早く終わらないかなぁ。」

「結愛、これから始まるんだよ(笑)。」

「うぅ…。」

さっき深月も言ってたけど、完走しさえすれば終わるんだから頑張らなきゃ。

それに今年は、陵がいる…。

見ていてくれる人がいるーーーそれだけでも気の持ちようは随分と変わるもので、嫌だと言いつつも去年ほどではなかった。


「ヨーイ……スタート!」

先生の合図で、私も含めた女子が一斉に走り始めた。


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