結婚の約束をしよう
これなら今年は真ん中くらいの順位で完走できそうだ。

終盤に差し掛かり、そんな事を思っていたあたしに異変が起こった。

「ハァ…ハァ……。」

外のコースを走り終えて、残りはトラック2周というところ。

おかしいな…身体が思うように動かない。

男子と、女子の速い子が何人か、ゴールしてるのが見える。

「……ッ。」

私も早くあそこに……あぁ、でも…頭が痛くてクラクラする。

身体も心なしかフラフラとしているみたいで…みんなの顔が、揺れているように見えた。

1人、2人と追い抜かれていくごとに、遅くなっている自分のペースに気付く。

「ハァ…ハァ……ハァ…ッ。」

もう少しなのに…。

もう少し……。

「結愛!」

その声にーーーハッとした私は、陵の姿を探した。

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