火恋 ~ひれん~
1章
忙しないような浮き立つような。賑わしさに包まれる12月。中盤ともなるとわたしが勤める小さな輸入雑貨店でも、忘年会が話題に上りだす。
「織江ちゃん、来週の金曜、海鳴り亭でやろうかと思うんだけどどう?」
「いいですね。予約入れておきましょうか」
オーナーの由里子さんに明るく声を掛けられて笑顔で返す。
「ん、お願い!」
専門学校に通い医療事務や資格を幾つか手にしたものの、就職先が見つからず途方に暮れてた時。たまたま通りがかったこの店の店頭でスタッフ募集の広告を見た。
吸い込まれるように中に入ってしまい、本当にたまたま由里子さんが店に出ていたお陰で、こうして仕事に就くことが出来た。
偶然とか奇跡みたいなものってすべてが時の運に思える。成るべくして、とは思わない。ただ巡り合わせってやっぱりあるんじゃないか・・・って。
あれからもう4年。この街で一人暮らししながら、わたし結城織江は24年目の人生の締め括りを迎えようとしている。
「織江ちゃん、来週の金曜、海鳴り亭でやろうかと思うんだけどどう?」
「いいですね。予約入れておきましょうか」
オーナーの由里子さんに明るく声を掛けられて笑顔で返す。
「ん、お願い!」
専門学校に通い医療事務や資格を幾つか手にしたものの、就職先が見つからず途方に暮れてた時。たまたま通りがかったこの店の店頭でスタッフ募集の広告を見た。
吸い込まれるように中に入ってしまい、本当にたまたま由里子さんが店に出ていたお陰で、こうして仕事に就くことが出来た。
偶然とか奇跡みたいなものってすべてが時の運に思える。成るべくして、とは思わない。ただ巡り合わせってやっぱりあるんじゃないか・・・って。
あれからもう4年。この街で一人暮らししながら、わたし結城織江は24年目の人生の締め括りを迎えようとしている。
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