短‐私たちの距離≒10cm
静かに、徹の声が響いた。




「さっきは本当、ごめんな?いきなり、あやの気持ちも考えずあんなこと……怖かった?」

誰もいない教室は、いつもどこか、ひっそりとしていて、寂しい。
とにかく移動しようと空き教室に入った後、もう一度謝る徹に、私は首をふった。
怖かったんじゃない。むしろ、私を求めてくれる徹が嬉しかった。
だから私は、謝ってほしくなかった。


「謝らないでよ……。」





『相手と向き合いなさい』


「私は……嬉しかったよ?」
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