僕と道化(ピエロ)と君の恋
 僕は『関係者以外立入禁止』のドアを関係者側から開けて園内に出ると、通用門に向かって走った。

 家の近くの書店が個人経営で、閉まるのが異常に早いのだ。

 通用門からさほど離れていない位置にぽつんと時計が立っている。

 四時三十二分

 それを目にした僕はさらに速度を上げた。書店が閉まるのは五時、職場から書店までは愛車の原付きを飛ばして三十分ぐらい、間に合うかどうかぎりぎりのラインだ。

 通用門さえ出れば原付きは目の前にある。
< 10 / 229 >

この作品をシェア

pagetop