僕と道化(ピエロ)と君の恋
 「……」

 「気に入ったなら貸して上げるよ、その本」

 「へ?本?」

 日之輪さんは手に持った本と僕の顔を交互に見た。

 「あ、本ですね。そうですよね、本ですね……」

 「うん……それは本だね」

 僕はハンバーグを見る為に立ち上がり、台所へ向かった。

 「は、はは……ですよね……」

 そう言って、日之輪さんはまた俯いた。

 ハンバーグをひっくり返しながら、僕はマコトに話し掛けた。
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