僕と道化(ピエロ)と君の恋
 「あの……」

 俯いた顔を少しだけ上げて、日之輪さんが口を開いた。

 「うん?」

 「間宮さんは……とか居るんですか?」

 「え?何?何が居る?」

 聞き取れなかった言葉を問い返す。 

 「か、彼女とか……」

 「あ……彼女ね、居るよ」

 その瞬間、日之輪さんは物凄い勢いで顔を上げて僕を見た。

 「なーんちゃっ……」

 僕が言い終わるより、日之輪さんの動作の方が早かった。
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