僕と道化(ピエロ)と君の恋
 日之輪さんは本を手にしたまま立ち上がり

 「失礼します!」

 と、叫ぶ様に言うと、止める暇すらない早さで玄関から出て行った。

 「て……あれ?冗談なんだけど……」

 『追いかけて!』

 頭のてっぺんから爪先まで、体中にマコトの声が響いた。

 いつもの僕ならきっと

 「なんで?」

 と、問い返していただろう。

 しかし、考えるより先に体が反応した。

 跳ねるように立ち上がり玄関へ行き靴を履く。
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