僕と道化(ピエロ)と君の恋
 そこには日之輪さんの靴が綺麗に並べて置いてあった。

 赤いパンプス。

 地味目な日之輪さんには少し不似合いな気がする赤いパンプス。

 僕は日之輪さんの靴を持って、玄関から飛び出た。

 「日之輪さん!」

 しかし僕の視界に日之輪さんの姿はない。

 アパートの階段を二段飛ばしで降りながら、日之輪さんの姿を視界に捉えようと辺りを見回す。

 「くそっ!早いな!」

 捉えられない日之輪さんの姿に苛立ちながら吐き捨てた。
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