僕と道化(ピエロ)と君の恋
 道路まで出て、駅へ向かう道を見渡す。

 「駄目だ……見失った」

 『馬鹿!冗談なんか言う雰囲気じゃないだろ!』

 頭の中に響くマコトの声にカチンと来た。

 「うるさい!大体何で僕が追いかけなきゃならないんだ!どうせ、明日仕事で合うんだから明日でいいだろ!」

 僕は赤いパンプスを手にしたまま、家へと歩き出す。

 『馬鹿!』

 「馬鹿馬鹿言うな!」

 『本当に馬鹿だよ!日之輪さんを見て気付かなかった?』
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