僕と道化(ピエロ)と君の恋
 『本を読みに来たのに、本も読まなかった。しかもわざわざおめかしして、わかった?』

 「何が?」

 言いながら僕は次の階段に足をかけて、体を持ち上げるべく力を足に入れた。

 『ド馬鹿!日之輪さんは僕らに会うからおめかししてたんでしょ!』

 「まさか、それはないでしょ」

 体を持ち上げると視界に廊下が広がる。

 僕の家の前に座っていた。

 『あるんだよ!日之輪さんは君が好きなんだよ!』

 日之輪さんが。
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