僕と道化(ピエロ)と君の恋
 ゆっくりと階段を昇り、一歩づつ慎重に日之輪さんへと歩み寄る。

 「どうしてここに……?」

 日之輪さんは何も答えない。

 座ったまま、無表情で僕の顔を見上げている。

 その顔は、初めて会ったドジな日之輪さんとも、歓迎会の時に見た大人な日之輪さんとも違って見えた。

 「そんな所に座ってないで、中に入ろう?」

 日之輪さんは返事はせず、無言で立ち上がり僕を真っ直ぐ見る。
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