僕と道化(ピエロ)と君の恋
 ちょうどトイレの前に差し掛かったと同時に日之輪さんが言った。

 「うん、どうぞ」

 「じゃあちょっと失礼します」

 日之輪さんは僕に背を向け、トイレに消えて行った。

 「マコト、返事はしなくてもいいから聞いて欲しい」

 僕はマコトに語り掛けた。

 「僕は日之輪さんと付き合う」

 『ほんとに!?』

 たった半日だった。たった半日マコトの声を聞かなかっただけなのに、その聲はやけに懐かしかった。
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