僕と道化(ピエロ)と君の恋
 別れる時、僕はアユを引き止めなかった。

 自業自得なのは明らかだったから。

 別れてから一ヶ月は寂しさよりも開放感が勝っていて、寂しさをほとんど感じ無かった。

 その時僕は、『アユの事、そんなに好きでは無かったんだ』などと見当違いな考えを持っていた。

 しかし、一ヶ月を過ぎた辺りから急激な喪失感に襲われ、夜になり眠りに就くときなどは肩を抱いて寂しさのあまり震えた程だった。

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