僕と道化(ピエロ)と君の恋
 「シンヤが本心から言ってるのはわかる、好きだって言って貰えて凄く嬉しい――でも、もう遅いよ……私も好きだよ?だから」

 アユは僕の目を見て、はっきり言った。

 「だから、戻れない」

 僕は何も言えなかった。

 好きだから――

 戻れない。

 アユの言葉を受けて、僕は俯いた。

 その頬を涙が伝い、顎を経由してからジーパンに黒い染みを作る。

 他の誰でもない……
< 189 / 229 >

この作品をシェア

pagetop