僕と道化(ピエロ)と君の恋
 「彼氏はいませーん」

 僕の耳には既に、華崎さんの挨拶は遠雷程度にしか聞こえていなかった。視線も五感も全て日之輪さんに向けていた。

 「マコト、女はああも変わるものか?」

 日之輪さんの座っている姿は、今朝の天然振りから想像も出来ない程毅然として、まるで別人だった。

 『女の子に関しては僕より詳しいでしょ?』

 「いや、ああゆうタイプにはお目にかかった事がないな……」

 「でも……好きな人はいまーす!」
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