僕と道化(ピエロ)と君の恋
 次の瞬間、早紀は力一杯口を閉じた。

 閉じた唇の端から赤い液体が流れる。

 「早紀……?」

 「おっ、おいっ!このガキ舌を!」

 「知っ、知らねえ!俺は知らねえぞ!」

 男達は慌てて逃げて行った。残されたのは『僕』と、物言わぬ早紀だけ。

 「早紀?早紀?早紀?早紀?早紀?早紀?早紀?」

 何百回、何千回呼んでも一回も返事が来る事はなかった。

 「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 
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