虹のかかる空【短編】
「工藤、」
「んー?」
「虹の下には、宝物が埋まってるんだって」
「え、なにそれ」
驚き半分、興味半分というような反応でこちらを見る工藤。
「昔、何かの本で読んだ。たぶん、童話」
「へぇ。
………意外。結城がファンタジーなこと言ってくるの」
「そう?」
「うん。もっと現実しか見ないのかと」
「そんなことない…よ」
わたしだって昔はファンタジーが大好きだった。
童話も絵本もたくさん読んだ。
けど。
たしかに工藤の言う通り、最近は目の前の現実ばかりでそんなことさえ忘れていた。