虹のかかる空【短編】
雨がしとしとと降っているおかげで。
教室は薄暗いし、空気は湿っているしで勉強する気なんてこれっぽっちも起きない。
教室で自習すれば少しははかどるかと思ったんだけど、逆効果だったみたいだ。
わたしはむだに教科書をめくるのを止め、シャーペンを机の上に置いた。
──その間にも、自分の前に座る男子は真面目に勉強している。
わたしが手を止めた今、教室に響くのは彼……工藤がペンを走らせる音だけ。