浅葱の空へ
さっき言ってた"任務"というのは、私の家の本業のこと。
うちは代々神主として神社を守ると同時に、異形の者_________つまりは"妖"を葬ることも生業としてきた。
と言ってもそれはここ500年の話。
元々は普通の神主。
でも神通力を持った人間が生まれることが多かったため、その念力を込めた刀を打ったりちょっとしたお祓いなんかはしてたらしい。
今から1500年以上前のそれはもう大昔も大昔。その頃は悪〜い妖怪もたくさんいて、陰陽師と呼ばれる人たちが退治してたらしいんだけどその数は徐々に減っていった。
だけど500年前からまた数が増えだして、その頃には陰陽師なんて居なくなっていたからそれに近い力を持つ人たちにピンチヒッターとして白羽の矢がたった。
そのうちの一つが嘉崎家なんだって。
うちみたいに夜になると祓魔師として活動している家は日本全国合わせて数百に登るんだとか。
全部父様が言ってたことだからよく知らないんだけどね笑
で、その任務が今夜もあるってこと。
確かに神通力があれば浄化できるし戦えるんだけど、一族の中でも神通力を持ってる人間はごく一部。
昔はもっといたみたいなんだけど、現在では一族の中でも本家筋の人間しか持っていない。
それなのに妖怪達は年々増えるばかりで全然減る気配がない。そこで万年人手不足の我が家が生み出したのが"浄化刀"。
これは少しでも神通力もしくは霊感を持っていて、妖怪を見ることができれば祓魔師のように完全に払いきることは出来ずとも相手を弱らせることで祓魔師をサポート出来るという優れもの。
浄化刀は大昔のうちの一族が自分の神通力を込めることで作っていた刀に退魔の術を掛けることでできるらしい。
その鍛え方も昔とは色々違うらしいんだけど、今のところそれを打てるのは一族の当主である私の父様とその父であるお祖父様だけ。
鍛えるのと退魔の術式に相当高度な技術と高い神通力が必要になるのが理由。
江都は元々霊感がとても強い子だったから、自分だけでは倒せずとも浄化刀を使うことで私たちはのサポートをしてくれている。
さて、今夜の任務が気になるところだけどテストも近いことだし今は授業に集中しなきゃね。