浅葱の空へ



「帰るよ江都。」

「はぁ〜い。今行くよ!!」


帰り道。

部活に行く人もいるけれど、家にそのまま帰る人が殆ど。

しかも大体の生徒が電車を利用するせいで駅構内は日学の生徒でごった返している。

その中には"人ならざる者"も混ざっている。

"人ならざる者"って言っても殆どが幽霊だから悪霊にでもならない限り問題はないし、そうゆうのって人が多いところに集まるからここに居ても不自然ではないんだけれど……

「ねぇ蓮華、見えてる?今日やたら多くない?」

「やっぱり私の勘違いじゃなかったかーでもヤバいのはいないでしょ?」

「うーんとね。待って」

2人で壁際に寄ると江都がスッと目を閉じた。
江都は悪霊の察知能力に長けていて、それだけなら私よりも上だと思う。

少しして江都が目を開けた。

「ホントにマズイことになってはないけど初期段階の奴が二体くらいいるかな」

「仕方ない。ちょっと浄化してこ」

「え⁉︎だから私武器持ってきてないって!!」

「私がやれば問題ないでしょ」

「1人で⁉︎」

「だってほっとくわけにゃいかんでしょ。うちの生徒だって多いしこの辺の祓魔師たち、言っちゃ悪いけどうちとは比べものになんないくらい能力低いから結果的に仕事がうちに回ってくるんだもん。

なら今のうちに仕事減らしといたほうがよくない?」

そう。

うちが万年人手不足なのは日学近辺の祓魔師が無能だってのも理由の1つ。

察知能力&霊力が低いおかげで悪霊見逃すは妖怪取り逃がすは浄化しきれないはでホントにどうしようもない。
結果的にそのお箱の殆どがウチに来てるわけよ。

「ほら。当代随一って言われてる祓魔師の私がいるんだからだいじょーぶ」

「確かにそうだけど察知能力私より低いじゃん…」

「それはあんたのが高性能過ぎるだけだから!ほら行くよ!!」


私達は改札を抜け、悪霊たちがいるであろう場所まで走った。





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