青藍のかけら

「じゃあ、そろそろ行こうか?」
「どこに行くの?」

久しぶりにデートしよ、としか聞いていなかった。
いきなり彼氏と別れた私に気を遣ってくれたのかもしれない。

――もしくは、ほんとにデートしたかっただけとか。

自分でも言っているが、千尋はいつでも私を可愛がってくれたから、私に彼氏がいる時は一緒に出かけられる時間が減ると前に不満そうに零していたから。

弟なのに可愛がってもらうって変かもしれないけど。

「友達のバイト先なんだけど、ご飯がおいしいお店でさ、早い時間に行ったらサービスいっぱいしてくれるって言ってたから、千鶴連れて行きたいなって思ってたんだ」

だからいつもより待ち合わせ時間が早かったのか、と納得する。

いつもはもうちょっと遅くに待ち合わせてご飯を食べ、そのまま家まで一緒に帰るのが普通だ。

「その店美形が多いのでも有名なんだよね」
「へぇ、じゃあ千尋の友達もかっこいいんだ?」
「うん、かっこいいよ。あ、でも女癖悪いから近づいちゃだめだよ?」

急に真剣な顔になって言うから笑ってしまう。
本当に心配症なんだから。

「千鶴?ほんとにだめだよ?友達としてはいい奴だけど、女の子とは遊んでばっかなんだから」

「わかったわかった」

クスクス笑う私にまだ心配そうにしている。


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