リアルな恋は落ち着かない
1.
時計の針が、もう少しで17時を指そうとしている。
私はパソコンのキーボードをたたく指の速度を上げて、終業に向けてラストスパート。
(・・・よし、これで絶対間に合う!)
カタカタカタカタ・・・。
(あと少し・・・)
カタカタカタカタ・・・。
(で、完了!)
最後にEnterキーを押し、私は心秘かにガッツポーズ。
(よーしっ!!)
終わった・・・!とパソコンの電源をおとし、そそくさと帰り支度を整える。
そしてすっとポーチを持って立ち上がると、向坂(こうさか)部長が「おっ」と言って机に向けていた顔を上げた。
「橘内さん、今日はずいぶん早いじゃない」
「はい。すみません・・・。用事があるので」
「おっ。なんだなんだー、デートかあ。金曜の夜だもんなあ」
「いえ・・・。友人と約束があるんです」
「怪しいなあ。橘内さん、いい人ができたらちゃんと言ってよー。キミは、みんなのアイドルなんだから」
向坂部長のからかうようなツッコミを、私は「失礼します」と軽く笑ってさらりとかわす。
そのままスタスタとフロアを出て行こうとすると、入り口のところで一つ下の後輩である五十嵐柊吾(いがらししゅうご)とぶつかった。
「あっ、ごめんなさい」
私はパソコンのキーボードをたたく指の速度を上げて、終業に向けてラストスパート。
(・・・よし、これで絶対間に合う!)
カタカタカタカタ・・・。
(あと少し・・・)
カタカタカタカタ・・・。
(で、完了!)
最後にEnterキーを押し、私は心秘かにガッツポーズ。
(よーしっ!!)
終わった・・・!とパソコンの電源をおとし、そそくさと帰り支度を整える。
そしてすっとポーチを持って立ち上がると、向坂(こうさか)部長が「おっ」と言って机に向けていた顔を上げた。
「橘内さん、今日はずいぶん早いじゃない」
「はい。すみません・・・。用事があるので」
「おっ。なんだなんだー、デートかあ。金曜の夜だもんなあ」
「いえ・・・。友人と約束があるんです」
「怪しいなあ。橘内さん、いい人ができたらちゃんと言ってよー。キミは、みんなのアイドルなんだから」
向坂部長のからかうようなツッコミを、私は「失礼します」と軽く笑ってさらりとかわす。
そのままスタスタとフロアを出て行こうとすると、入り口のところで一つ下の後輩である五十嵐柊吾(いがらししゅうご)とぶつかった。
「あっ、ごめんなさい」
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