リアルな恋は落ち着かない
横浜に戻ると、五十嵐くんはおすすめの台湾料理屋さんに連れて行ってくれた。

話していた通り、小籠包は本当に美味しくて、私はとても感激した。


(いままで食べた小籠包のなかでは、いちばんかもしれないな)


夕飯も、彼がごちそうしてくれた。

さすがに申し訳なく思い、先輩風をふかせて「ここは私が!」とお金を払おうとしたけれど、なぜか笑われてしまい、あっさり却下されてしまった。


(今度、なにかお礼をしよう・・・)


漠然と思いながら、店を出て車に乗ると、五十嵐くんは私の家の方角へとハンドルを操作していった。

少し見慣れた眼鏡の横顔。

かっこいいな、と素直に思う。

時刻は遅く、車内ももう薄暗くなってはいたけれど、そのぶん街の灯りは眩しくて、夜はまだ、長く続きそうに思った。

「・・・そういえば。橘内さんがはまってるゲームって、どんなのですか」

会話の合間に、五十嵐くんは思い出したように私の趣味の質問をする。

ドキリとする私。できればあまり言いたくはない。

「・・・笑うと思う」

「笑いませんよ。・・・って、いや、笑うかな。笑うと思うけど、ばかにしてるわけじゃなくて」
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