リアルな恋は落ち着かない
「!」

「会いたい」と、真っ直ぐ言われた。

私の胸は、ドキリと大きく跳ねあがる。

「鈴島さんのこと、なにか気になってるのかもしれないけど。オレは橘内さんが好きだから・・・。

別に、この前の返事をせかすとかじゃなくて。ただ、会いたいだけなんですけど」

「もちろん、会社は別で」と、彼は最後に付け加えた。

私は、言われた言葉が夢のようで、コクリと頷くのが精いっぱいだった。

「・・・よかった。じゃあ、後で予定教えてください。行きたいとこがあればどこでも行くし。なければ、また、考えておくので」

「・・・うん」

嬉しくて、ドキドキとして、夢みたいだって思った。

ちゃんと好きだと言葉にされたのは、今日が初めてだったから。

『似合わない』

『かわいそう』

そんな彼女の言葉を忘れるくらいに、今はただ、五十嵐くんが好きだと思った。











< 182 / 314 >

この作品をシェア

pagetop