リアルな恋は落ち着かない
悩むように答えると、ももさんは何かを察したようだった。

「なんだ。事情でもあるのか」

「うん・・・。仕事にも影響が出そうだし、私と五十嵐くんも、いろいろ・・・立場が悪くなるかもしれない」

「ん?なんだそれは。相手は仕事関係で・・・公私混同してくる、いわゆるメンドクサイ女子か」

「そ、そうだね。とっても、メンドクサイ・・・」


(それに・・・)


「五十嵐くんが私を好きっていうことも、ちょっとわからなくなっていて」

「どういうことだ」

「その子が言うにはなんだけど・・・。五十嵐くん、本当はその子のことが好きだって・・・。でも、私は先輩だから、気を使って私に嫌って言えないって、そんなふうに言われてて」

「ほお・・・。すごい理屈だな。いかにも嘘っぽいと思うが」

「そう思いたいけど・・・。二人がキスしてる写真もあって、それも見せられたから・・・」

沈む声で伝えると、ももさんが「おわ!?」と不思議な声を出す。

「わざわざそんな写真をゆりりんに見せつけたのか!いやなやつだな」

「うん・・・」

それで脅されている、とここで言ってしまうのは、大事になりそうだし相手がわかってしまう気がして、この先はぐっとこらえることにした。

「厄介そうな相手だな。大丈夫かゆりりん」

「・・・自信ない」

「だろうな。ゆりりんは、ただでさえ人と話ができないタイプだというのに」


(う・・・)


「最近は、ちょっと話せるようになってきたよ・・・」

「そうか。それはいいが。五十嵐め・・・。戦隊レッドと思っていたのに、そんな女子と浮気するとは」
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