リアルな恋は落ち着かない
電話口から、ももさんの鼻息荒い声がした。

私は慌ててなだめに入る。

「ま、まだはっきりとはわからないから・・・。五十嵐くんとは、話が途中になっていて」

「む。そうか。・・・よし!ならばいますぐはっきりさせよう!私がヤツに電話する!」


(えっ!?)


「ま、待って・・・!」

「こういうのは、一刻も早くすっきりしたほうがいいだろう。こじれると余計厄介だ」

「で、でも・・・待って!待ってほしいの」


(ここで、ももさんが五十嵐くんに電話をかけたら・・・)


医務室の時と同じように、また私を好きって言ってくれるかもしれない。

キスもなにかの間違いだって、写真は合成だとかそんな感じで、嘘のものだと言ってくれると、期待のような予感もあった。

だけど。

やっぱり、気を使っているだけだったら?

まりんちゃんの言葉に囚われ、彼が言うことを信じ切れる自信もなかった。


(それに・・・もし納得できる言葉を聞いて、今度こそ信じることができたとしても・・・私は結局、身を引かなくちゃ大変なことになってしまう・・・)


「・・・ダメなの」

「ん?」

「聞きたいし、知りたいし、どうにかしたいって思ってたし・・・今ももちろん、それは思ってるんだけど。

キスが誤解だとしても、私のことが好きって言ってくれたとしても・・・もう、どうにもできないし、付き合うことはいけないの」
< 216 / 314 >

この作品をシェア

pagetop