リアルな恋は落ち着かない
時刻は16時50分。

まだ勤務時間だし、それだけのために部長が電話をしてくるなんて・・・と、ちょっと疑問に思っていると。

「じゃあ、明日の仕事終わり、早速飲み会でも大丈夫かな」

「え?」

「ほら、前に、テレビの仕事が終わったら、みんなをもつ鍋の『たかはし』に連れて行くって約束をしていたでしょう。

いやあ大口たたいちゃったな~、なんて、秘かに思ってたんだけど、明日は開店30周年キャンペーンで、メニュー全品30%オフなんだって。

できればそんな日だとありがたくてさ。橘内さんがよければ、早速予約しちゃうんだけど」


(あ、なるほど・・・)


ロボット開発部は、総勢28人だ。

全員に奢るとなれば、相当な金額になってしまうはず。

30%オフの機会は、確かに見逃せないと思った。


(でも・・・部長、約束を覚えてて、ちゃんと守ってくれるんだ)


そのことに、私は嬉しい気持ちで返事した。

「大丈夫です。ありがとうございます」

「そお?急で悪いなー。ありがとう!あ、もちろん、橘内さんは無理に飲まなくていいからね。

・・・っと、じゃあ、キャンセルでたとこに入れてもらうから、急いで電話かけ直さなきゃいけないんだ。それじゃ、明日ね!」

「あ、は、はい」

ピッ。

ツーツーツー・・・。


(・・・忙しそうだな・・・)
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