リアルな恋は落ち着かない
「まだもうちょっとかかるからね。のんびりしてて」

「うん」

母はフライパンで炒め物を作っていた。

ごま油の香りが漂い、とてもおいしそうな予感。

「じゃあ、ちょっと部屋にいるね」

「はーい」

明日着る、洋服でも決めておこうか。

ドライヤーでさっと髪を乾かすと、私は自室に戻って行った。


(さて・・・明日はもつ鍋屋さんで飲み会だから・・・)


畳だし、長めのスカートにしよう。

そんなことを考えながらクローゼットに向かうと、ふいにスマホが目に入る。

ベッドの上で、チカチカとランプを光らせ、不在着信を知らせている。


(ん・・・?また向坂部長かな・・・?)


手に取って相手の名前を確認すると、今度は美瑠久ちゃんだった。

美瑠久ちゃんから電話があるのも、とてもめずらしいことである。


(休んでたし、仕事のことかな)


気になって、私は早速彼女に電話をかけ直す。

するとすぐ「橘内さーん!」と電話に出た美瑠久ちゃんは、興奮気味に話し出す。

「橘内さん、明日の飲み会行くんですよね!?」

「え?あ、うん。さっき部長から電話があって、行くって返事をしたんだけど・・・」

「それが・・・まりんも来ることになったんですよっ!!」

「・・・えっ!?」


(まりんちゃんも・・・!?)
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