リアルな恋は落ち着かない
「誰かが『テレビの打ち上げならまりんちゃんにも声をかけよう』、とか言い出しちゃったらしくって。

半ばダメもとでマネージャーの中尾さんに連絡をしたら、まさかのOKが出たって言って」

「・・・うそ・・・」

「だったらいいんですけどねっ。残念ながらほんとなんです!中尾さんとまりんと、二人で来るそうなんですよ」


(いやだ・・・。まりんちゃんと、また会うの・・・?)


私が五十嵐くんに好きって言ったら、そして彼と進展があったら、そうしたらまりんちゃんは意見をしに来るだろうって、そんな覚悟はしていたけれど。

いまの状況で、しかも会社の飲み会で彼女と対面するなんて、夢にも思っていなかった。

「部長も、まさかOKが出るとは思ってなかったらしくって。『じゃあ連絡してみれば〜』とか軽く言っちゃったそうなんですよ。

結果二人増えちゃって、頭抱えてたんですけどね、言い出しっぺたちもお金出すってことになって、それならいいかって、OKしたみたいです」

「・・・そうなんだ・・・」


(元々こっちから誘ったんだから・・・『やっぱり来ないで』なんて、そんなことは言えないもんね・・・)


「どうしますか〜橘内さん!私、『たかはし』のもつは食べたいんですけど、まりんと会うのは嫌なんです!」

「うん・・・。私も、会いたくない・・・」

「よし!じゃあ、二人でキャンセルしましょうか!」

「・・・でも、ほんの数時間前に、部長に直々に『行く』って返事をしちゃったからな・・・」
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