リアルな恋は落ち着かない
(なんて・・・。ただのおみやげだもの。いけないことだと思う自体、自意識過剰かもしれない・・・)


うん・・・そうだ!

ただのおみやげ。

そうだ、ただのおみやげなんだ!

おみやげは、誰からもらってもやっぱり嬉しいものだもの。

そう考え、とりあえず、今日のところは一旦このことは置いておくことにした。
 
私は思考を切り替えて、スマホを手に取り電源を入れた。


(お待たせっ)


早速、「大正純情恋物語」のアプリを開く。

気持ちが落ち着かない時、疲れている時は、彼に癒やされるのが一番だ。

二日ぶりに会う光之助は、今日も変わらずかっこよかった。


(きゃー!今日も袴がよく似合う!)


画面の中の光之助に、私は頬を染めて興奮しまくる。

そしてうきうきしながら、以前の続きのゲームをすすめた。


(でも、すっごくじれったいんだよなあ)


古い時代背景もあって、私「ゆりな」と光之助は、お付き合いしているとはいえ、未だに手をつなぐだけ。

「早く、もっといろいろしたい」と、現実では決して言えない願望を、光之助には抱くけど。

彼はとても硬派なので、時代以上に彼の気持ちが、二人の進展を遅らせていた。

今日も、二人きりで海を眺めに行ったのに、海岸を手をつないで歩くだけで、キスすることもしなかった。
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