リアルな恋は落ち着かない
そして迎えた9月半ばの金曜日。

時刻は19時40分。

横浜駅西口を出てすぐの商業施設の入り口で、私はももさんを待っていた。


(あと5分で電車が着くって言っていたから・・・もうちょっとかな)


左にはめた腕時計で、チラリと時刻を確認する。

ももさんから連絡がきたのは約5分前だったので、そろそろ到着するはずだ。

今日こそが、私とももさん、五十嵐くんとその友達との飲み会の日。

まずは私とももさんで待ち合わせ、そしてそれから五十嵐くんたちと落ち合うことになっていた。

「ゆりりーん!」

「ももさん」

「悪い、遅くなって」

駆け寄ってきたももさんは、汗を拭き拭き、右手で拝む仕草をする。

私は「ううん」と首を振り、ももさんの顔を手で扇いだ。

「そんなに急がなくても大丈夫だよ。五十嵐くん、私が帰るときまだ会社に残ってたから」

「ああ。そうか。ちょっと送れるみたいなメールは五十嵐からきたんだが」

会社が同じ私より、ももさんと五十嵐くんはきちんとコンタクトがとれている。

同じ部署だけど、五十嵐くんのプライベートのメールアドレスすら私は知らない状態だった。

「今回のことで、五十嵐とは何か話してないのか」

「うん・・・。2、3日前、エレベーターで二人だけになった時、金曜日よろしくって感じの話は少しだけしたんだけど」

「ふーむ、ゆりりんは相変わらずだな。五十嵐ともっと話すといいぞ。とってもいい奴だ」


(そう言われても・・・。あんまり、わからないんだよね・・・)
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