苦手な言葉レンタルします!
「ちょっと、どういう事?「言葉」のレンタルなんて聞いた事ないよ」
この店を初めて訪れる客の大半が投げかける疑問を川崎も発した。
「人と人、男と女、先ずは言葉を交わさなきゃ何にも始まりませんやね~。しかしイザ言葉を交わそうにも、何か下心があればあるほどコレが結構難しい。でしょお客さん?」

川崎は、酔った脳みそでそんな講釈をクドクドと聞く気になれずに云った。
「だったら、その口説き文句ってやつをとりあえず、俺に一つ貸してみてよ。試してみたい相手が一人いるんだよね!」
「でしたら、ちょっと伺いますが、お客さんの試してみたい相手の方とは、今はどの程度の仲かですかね?もう気軽にデートへ誘えるぐらいの間柄にはなってるの?それとも・・・」

「ぜんぜんなんだよね、まだ二人きりになった事も無いから」
「そういうことだったら・・・」
店主はそう云いながら、川崎の目の前にのB4判サイズで10ページほどの「言葉」カタログを差出、二ページほど捲って。
「お客さんこの<口説き文句編>の中の<切欠言葉集>から、お望みのを一つ選んでよ?」
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