苦手な言葉レンタルします!
待ってましたとばかりに、店主はレイの言葉カタログを取り出し、3ページ目を開いて川崎の目の前に差し出した。

「先を急ぐなら、<口説き文句編>の<ベッドイン言葉集>ですかね。もうすこしのんびり進むなら、こっちの<信頼関係を深める言葉集>あたりですがどうしましょう?」
川崎は生まれて初めて女性を上手く誘えたのに、その夜にベッドインなんて自分の能力を遥かに越えていると確信していたが、調子に乗って口が滑った。

「当然次は、<ベッドイン言葉集>いかなくちゃ男じゃないよね!」
「でしたら、これですね。この<ベッドイン言葉集>はセットになってるんで、デート当日巾着を手に、ベッドインベッドインと胸で呟くと必要な口説き文句が状況に応じて口をついて出来てきますから、気づいた時にはもうお相手の女性をベッドで虜にしちゃってますよ!」

店主の自信に満ちた説明と、呑みに行かないか?の大成功で、川崎は女性に対して、からきし自信のない昨日までの自分が嘘のように山口佳代との初デートベッドインへの確信を深めていた。

3へ続く
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