恋はシミュレーションで!

あーぁ…。
もう夢から覚めてしまおうか…。
6時間きっちり授業受けさせられるわ、
腹は減るわ、変な女に襲われそうになるわ…。渚ちゃんと一緒に帰りたかったなぁ。
俺は何度もため息しながら廊下を歩く。

「あの、ハンカチ落としましたよ?」

振り返るとそこには、ショートカットで眼鏡の真面目そうな女生徒。

「え?ほんとだ、ありがと…」

彼女はハンカチを俺の制服のポケットに突っ込んだ。

「気をつけてくださいね?では私は用事があるので」

そう言って俺がさっき降りてきた階段を上がっていった。
ファイルとかいっぱい持ってたけど委員会かな?

「さてと、1人で寂しく帰ろう…」


…?生徒手帳が落ちてるぞ?
しかもさっきの子の写真が・・・
…なんだこの漫画みたいな展開は??


〝2年1組 進藤 麻紀〟


進藤さんか。渚ちゃんと同じクラスだ。
確か上の階に上がって行ったよな?
仕方ない、追いかけるか。
はぁ~…。

< 10 / 14 >

この作品をシェア

pagetop