Fw:添付画像あり
「こら蛍、早速ナンパかぁ?」
そんな俺達の間に、背の高い細身の女がそう言って入ってきた。
葉月とは違い、明るく染まった茶色のショートボブがよく似合う、活動的な雰囲気のある女だった。
「亜由美ちゃんもナンパしてみる?」
「あたしは薫に怒られるから遠慮〜」
またクスクスと笑う葉月に、亜由美と呼ばれた女は髪と同色の茶色い眉をひそめて言った。
そして俺に笑顔を向けると、グロスの塗られた唇のすき間から、白い八重歯が覗いた。
「あたし、藤本 亜由美。ついでにあそこで寝てんのが彼氏の薫」
藤本が、三つ隣の列の一番前の席を指差したので、その指の先に視線を這わせる。
するとそこには、机に上半身を伏せて腕に顔を埋めている男がいた。
「まぁ、あいつ共々よろしく」
ニカッと、白い前歯が見える程藤本が笑い、俺もその笑顔に応えて笑った。
それに満足したのか、藤本は彼氏の眠る席へ帰って行き、その隣の席に腰を下ろした。
そして彼氏の寝顔を、愛おしそうな柔らかい笑顔で眺めていた。
「俊君、まだ教科書無いでしょ?私の貸してあげるね」
葉月は体を前に向け、机の中をごそごそと探った。