Fw:添付画像あり

「うん、先週ね。二年も我慢して使ってたからさぁ、やっとだよ」

「いいなぁー、私も新しいの欲しい」

藤本は先程までの怒りの形相からは想像もつかないくらい、楽しそうに会話を始めた。

女という生き物は、こうも切り替えが早いのかと感心してしまう。

そんな事を考えていると、小野田の言った“決まり”の事を思い出した。

あれから気になっていたが、タイミングが掴めず聞きそびれていた。

「小野田が言ってた悠久山に入るなって、どういう決まりなの?」

おもむろに二人の会話に割り込みと、二人共目を合わせ、俺に視線を向けた。

「どういうって言われても、十年くらい前にあそこで行方不明になった人がいてね、危ないから入っちゃ駄目ーって言われてるの。それだけだよ」

「女の子と男の人が居なくなっちゃったんだって」

藤本の言葉に葉月も頷き、言葉を繋げた。


――行方不明……。


昨日麓付近まで行ってみたが、それなりに高い山だったし、あまり手入れがされていない感じではあった。

まぁ、用事も無いので入る事はないだろう。

「そうなんだ」

俺が一言そう言うと、二人はまたお喋りを始めた。
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