Fw:添付画像あり
一人は父だとして、もう一人、俺よりも年下に見えるこの女の子が誰なのか見当もつかない。
後ろに写っている家はこの家だ。
写真には一部しか写っていなかったが、その外観と庭の感じから、川崎家である事に間違いは無かった。
裏返してみると、黒のマジックで文字が書かれていた。
1998年7月
俊幸 7歳
真白 5歳
「……真白?」
調度十年前。
真白って、誰だ……?
もう一度表の写真を見てみる。
二つに分けた髪の毛を、赤いリボンで結んだ女の子。
その女の子の肩を母が抱き、その隣でピースしている俺の肩を、父らしき人が抱いている。
どこからどう見ても、仲睦まじい家族。
でも――
「誰だよ……」
妹がいるなんて話を聞いた事は無い。
俺の記憶にも無い。
俺が七歳の時までは――この町に居た時まではいたって事だろうか。
それでも、何故母や親父は妹の話をしないのか。
無くした記憶の手掛かりを見付けたという喜びよりも、今まで俺の中で存在しなかった、真白という女の子に対する恐怖にも似た感情や、妹らしき人物がいた事を黙っていた、親に対する疑念の方が遥かに大きかった。