Fw:添付画像あり
制服のワイシャツが汗で背中に張り付く。
それが少し気持ち悪かったが、美優の様子がおかしい事の方が気掛かりだった。
「どうした?」
腰に巻かれた細い腕に手を乗せ、少し振り返った。
美優は額をピッタリと俺の背中に付けている。
そして巻かれた腕に力が入れられ、少し強く抱きしめられると、すぐにその力は抜け、背中の感触も無くなった。
俺がもう一度体ごと振り返ると、美優が顔を上げて笑った。
「何でもない」
そう言って台所を足早に去り、階段を上がって行った。
台所に一人残された俺は、背中に張り付いたワイシャツを剥がし、麦茶を一気に飲み干し、体の中から冷やしていった。
麦茶の無くなったグラスは美優が持って来た物よりも汗をかいておらず、残った氷も俺達に持って来た物よりも大きかった……。
それから四人で、なるべく明るい話をした。
それは本当に他愛もない事で、この町にある店の紹介だとか、一番近いコンビニは何処だとか、小野田も珍しく惚気話なんて披露した。
そうやって話していくうちに日は暮れ、藤本もだいぶ落ち着いてきた様だった。