Fw:添付画像あり


日が完全に落ち、俺の部屋が蛍光灯で明るくなる頃、葉月達は帰っていった。

藤本は小野田の家に泊まるらしい。

葉月が少し心配だったが、もう大丈夫だと言って笑顔を見せた。




それから両親が帰ってきて、夕飯を食べた後、風呂も済ませて部屋でくつろいでいると、もう日付が変わっていた。

だが、どうせ今日は休みなので気にする事はない。



夜の静寂が好きだ。

虫すら鳴かない真夜中。

ただ、月と星の明かりだけが幻想的で、青い夏の匂いを乗せてたまに吹く風の音が、耳に心地良い。

部屋の蛍光灯を消した。

目が慣れないうちは真っ暗なこの部屋も、もう少ししたら明るく見える。

カーテンと窓を開け、外の光と空気を取り込む。

涼しい空気が入ってきて、外の闇がこの部屋という狭い空間と一体化し、窓の外に見える月がまるでこの部屋にある様に感じた。

耳を澄ませば、どこかから凛とした風鈴の音色が聞こえてくる。

ベッドに仰向けに寝転がり、夜空を眺める。

ただこうしているだけで、夢を見ている様だった。



「俊幸君……」

俺の耳元で、風鈴にも似た声が聞こえた。
< 54 / 66 >

この作品をシェア

pagetop