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日が完全に落ち、俺の部屋が蛍光灯で明るくなる頃、葉月達は帰っていった。
藤本は小野田の家に泊まるらしい。
葉月が少し心配だったが、もう大丈夫だと言って笑顔を見せた。
それから両親が帰ってきて、夕飯を食べた後、風呂も済ませて部屋でくつろいでいると、もう日付が変わっていた。
だが、どうせ今日は休みなので気にする事はない。
夜の静寂が好きだ。
虫すら鳴かない真夜中。
ただ、月と星の明かりだけが幻想的で、青い夏の匂いを乗せてたまに吹く風の音が、耳に心地良い。
部屋の蛍光灯を消した。
目が慣れないうちは真っ暗なこの部屋も、もう少ししたら明るく見える。
カーテンと窓を開け、外の光と空気を取り込む。
涼しい空気が入ってきて、外の闇がこの部屋という狭い空間と一体化し、窓の外に見える月がまるでこの部屋にある様に感じた。
耳を澄ませば、どこかから凛とした風鈴の音色が聞こえてくる。
ベッドに仰向けに寝転がり、夜空を眺める。
ただこうしているだけで、夢を見ている様だった。
「俊幸君……」
俺の耳元で、風鈴にも似た声が聞こえた。