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俺は美優とは反対の方を向き、言葉を発する事が出来ない。
“好きだ”という気持ちが溢れてきてしまいそうで、外の月に意識を集中させた。
「美優ね、あの人……俊幸君の隣に座ってた、黒髪の人、見た事あるかも」
美優がそう言うと、濡れた唇の感触が俺の腕に伝わり、唇がついている事が分かった。
「葉月の家もこの近所だからな。見た事はあるんじゃないか」
俺はなるべく平静を装う。
実際、話の内容などあまり頭には入っていない。
「そうじゃないの。昔、小さい時に会った事ある気がする……」
その濡れた唇の感触と一緒に、熱い吐息が腕に掛かる。
「……美優」
俺は理性で抑えていたタガが外れそうになり、美優に覆いかぶさる様に起き上がった。
だが美優は、俺の腕にしっかり体を巻き付け、そのまま目をつむって寝ていた。
「……ったく」
その寝顔を見て小さく溜め息をつき、思わず微笑んでしまった。
「何が寝れないだよ」
ソッコーじゃないか。
俺は美優を起こさない様に、足元にはけてあるタオルケットを手繰り寄せ、横で幸せそうに眠る美優に静かに掛けてやった。